昔々、高校時代。
うちの高校は全寮制だったので、学校の敷地外へ出る事はなかなかできなくて。
週に1度、日曜日だけ許可されていました。
しかも、月に2回まで。
というわけで、自由になった生徒は大喜びで庭駆け回るわけですよ♪
学校が、岐阜県の山奥にあったんで、一番最寄の都会と言える場所は、名古屋だったんで、必然的に買い物や遊びは名古屋ですることが多かったです。
ある日、名古屋の大須という商店街でブラブラと買い物を済ませたのち。
もう、今は潰れてなくなってしまった、とあるラーメン屋さんに入ったんですよ。
これがまぁ、(失礼だけど)結構汚いラーメン屋さんだったんですけど、寮生活でいつも同じ食堂のご飯しか食べてなかった高校生にとっては、安くて量が多かったこの店のラーメンは、多少マズくても何よりのご馳走でした。
その日も、いつものようにラーメンと餃子を頼んで、たいしてうまくもないのに、うまいうまい言いながら食べて、そんな高校生を見ながら、うれしそうにいつもライスをサービスしてくれた、(失礼だけど)これまた小汚いおっさん。
いつもどおりの時間の中で、いつもと違ったのは。
いつもは、他の客なんてめったにいないのに、その日に限って。
他にお客さんがいたことでした。
入り口のすぐ横のテーブルで、すごい勢いでラーメンを食べるおっさん。
よっぽどおなかが減ってるのか、ほんとにすごい勢い。
SIGたちが半分食べ終わらないくらいの間に、完食してる勢いでした。
まぁ、おっさんのあまりの食べっぷりを、ポカーンと見てたからかもしれないけど。
さらにおなかが減っていたのか、そのおっさんはチャーハンを追加注文。
おっさんも、あいよーとか言いながら、厨房に入って、料理を作ってました。
次の瞬間。
はらぺこおっさんは、何を思ったのか弾かれたように立ち上がって、そのまますごい勢いで店の外へダッシュ!
もう、脱兎の勢いっていうんでしょうか?
とにかくすごい勢いでダッシュ!!
それをポカーンと見つめるSIGと友人、そしてラーメン屋のおっちゃん。
みるみる伸びるラーメン。
はっと気づいたように、ラーメン屋のおっちゃんが、「待てや!ごるぁぁっ!!」と、それまでの生気がない様子がウソのように、まるで極道の方のような口調で、追いかけるおっさん。
こうして、食い逃げ vs ラーメン屋極道 の夢の対決が実現したわけです。
それをポカーンと見つめるSIGと友人。
ますます伸びるラーメン。
とりあえず、どうしようか・・・と思いながらも、思いっきり伸びたラーメンを食べ、極道が帰ってくるのを待ってたわけですが。
・・・帰ってこないじゃん。
ラーメンも餃子も食べ終わって、30分待っても、1時間待っても、食い逃げも極道も帰ってくる気配なし。
他に客が来る気配もなし。
店内には、他に誰もおらず・・・。
暑い夏の日だったので、遠くでセミの鳴いてる声が聞こえるだけでした。。。
さて、困ったことが起こりまして。
寮生活の身としては、門限というものがあるんですよ。
さらに、学校はかなりの山奥にあるので、学校専用のバスが、1時間に1本だけ出てるんですが、その終バスの時間が、結構早い。
これに乗り遅れると、タクシーを使うというリッチな技を使うか、徒歩でテクテク10キロくらいの上り道を歩くかの2択。
みるみる迫る門限。
帰ってくる気配の無い極道ラーメン屋。
でも、会計も終わってない身としては、ここで帰るのは後が怖い。
帰らないとやばい、帰るとやばいという、板ばさみ状態。
さらに悪いことに。
ラーメンと餃子の代金が約1000円ちょっと。
二人とも、財布の中には5000円札などの高額紙幣しか入ってなくて、お釣をもらわないことには、お金だけ置いて帰るという技も封じられていたわけで。
どんどん暗くなり始める表。
時計は進む。
おっさんは帰ってこない、と。
正直、かなり泣きそうな状態でした。
ただ、ラーメンを食べに来ただけだったのに・・・。
食い逃げなんていう、かなり希少価値の高いものを見たかと思ったら、今度は店に足止めの刑。
何て休日なんだっ!!
そう思ってる間にも、門限が迫っており。
しかたなく、友人と二人、店を後にしました。
店を出るときに怖かったこと怖かった事。。。
いつ極道ちっくなおっさんが、叫びながら追いかけてくるかと冷や冷やしながら、何とか門限を破らずに学校へ帰ることができました。
ここで、あの極道おっさんは、ラーメン1杯の食い逃げを追いかけたがために。
最初から食い逃げる気の無かった善良な高校生×2名を、結果的には食い逃げにしてしまったのでした。
大体、こっちの方が食べた金額多いし(^^;
2兎追う物は1兎も得ず・・・。
何か使い方が間違ってる気もしますが、そんな感じがした、青春の1ページ。
ちょうど、こちらの7月7日の日記を読んでたら、思い出しました。
ちなみに、お金は後日ちゃんと払いましたよ。
・・・う、ウソじゃないってば!!
こんなこともあったなー。
翌日の日記に続きます。
2007年08月31日 00:18 追記